えんじゅ

バンダのはじまり

蠅をつけた少年


 カトマンドゥでバンダ(無期限ゼネスト)が始まったとき、僕は田舎の農村地帯を歩いていたので、何が起きているのかよくわからなかった。店のシャッターが下ろされ、山道を走る車の数が目に見えて少なくなっていった。
 開いているチヤ屋を見つけて一息ついていると、平日の午前中だというのに子どもたちが道に出て遊んでいる。不思議に思い、少し英語のわかる少年に尋ねてみた。

 「スクール、クローズド?」

 「イエス、トゥデイ、クローズド。」

 「ホワイ?」

 「ネパリ・・・ポリティカル・・・パーティー・・・ファイト。」

 少年は頭の中の英単語を探しながら答えてくれた。
 それだけの単語で意味が飲み込めた。ネパールでは、マオイスト(毛沢東主義派)と呼ばれる共産党派閥と政府与党が衝突を繰り返していて、バンダと呼ばれるゼネストがたびたび起こっていることを、事前に調べて知っていたからだ。
 だけどまさかこんな山奥の小さな農村までバンダの影響があるとは全く想像していなかった。それに何より、まだあどけなさの残る少年が、「ポリティカル・パーティー」などという高度な単語を知っていることに驚いた。
名前を呼んで  |  記事の一覧に戻る  |  道しるべ