えんじゅ

救いの歌

ラスタ帽をかぶったハマダンさん

 ジョーズ・コーナーで出会った、漁師のハマダンさん。
 夜釣りから戻って魚を売った後、コーヒーを飲んでひと息ついているところだった。
 ハマダンさんは髪を切らずにドレッドにして、ラスタ帽をかぶっている。タンザニアではどういうわけか、このレゲエ・ファッションをちらほら見かけた。

 レゲエはカリブ海に浮かぶ島、ジャマイカに奴隷として連れてこられた黒人が作った音楽だ。歌っている内容も、奴隷制度や植民地支配に対するプロテスト・ソング、アフリカへの回帰を呼びかける内容が多い。
 タンザニアでレゲエ・ファッションを見かけるのは、海を渡った人びとの心の自由と平和を希求する音楽が、歴史的に虐げられてきたこの国の人びとの琴線に触れたからなのかもしれない。
 かつて奴隷が売られ船で積み出されたこのザンジバルという島で、その奴隷が到達したジャマイカの島で作ったラスタ文化の一端を目にするのは、とても感慨深かった。
 だからザンジバルを旅する僕の頭の中にいつも流れていた歌は、ザンジバルで生まれたフレディ・マーキュリーの歌ではなくて、はるか遠い島で生まれたボブ・マーリーの歌だった。
 
 'Redemption Song' Bob Marley

 Old pirates, yes, they rob I
 Sold I to the merchant ships
 Minutes after they took I
 From the bottomless pit
 But my hand was made strong
 By the hand of the Almighty
 We forward in this generation
 Triumphantly

 Won't you help to sing
 These songs of freedom?
 Cause all I ever have
 Redemption songs
 Redemption songs

 Emancipate yourselves from mental slavery
 None but ourselves can free our minds
 Have no fear for atomic energy
 Cause none of them can stop the time
 How long shall they kill our prophets
 While we stand aside and look?
 Some say it's just a part of it
 We've got to fulfil the Book

 Won't you help to sing
 These songs of freedom?
 Cause all I ever have
 Redemption songs
 Redemption songs


 『救いの歌』 ボブ・マーリー

 昔 略奪者たちは俺を力づくで捕らえ
 奴隷商人の船に売り払った
 そのすぐ後に俺は連れて行かれた
 絶望のどん底から
 だけど俺の手は強くできている
 神が授けてくれた手だ
 俺たちはこの時代を前に進んでいく
 大いなる誇りを持って

 一緒に歌ってくれないか この自由の歌を
 俺が今まで歌ってきたのは
 救いの歌だけだから
 救いの歌だけだから


 精神的な奴隷から 自分たちを解放しよう
 精神を解放できるのは 俺たち自身だけだ
 原子力を恐れることはない
 誰も時を止めることはできないのだから
 どれだけ長い間俺たちの予言者を殺すのか
 俺たちがただ傍観している間に
 それは聖書の一部にすぎないという
 俺たちの手で聖書を完成させよう
 
 一緒に歌ってくれないか この自由の歌を
 俺が今まで歌ってきたのは
 救いの歌だけだから
 救いの歌だけだから

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